当サイトではおなじみ、阪急梅田駅の動く歩道横の広告スペース「ロングセット60」では春秋航空の広告が掲載されています。
「春秋航空が大阪→上海 999円で行けちゃうワケ。999キャンペーン」と題したキャンペーンの宣伝ですが、そのポスターがとても面白い仕上がりになっています。
春秋航空のポップでキャッチなコピーがLCCを的確に表現
このキャンペーンの内容はというと、毎月9月〜15日限定で安くなるもののようですが、それよりも目が引くのがこのポスターに書かれている内容です。この広告には、LCCが何たるかがわかりやすくまとめられているんですね。
このポスターに書いていることはというと、
「荷物の多い人と少ない人、同じ料金はおかしいと思う。」
春秋航空では、荷物の量に応じて別途料金をいただいております。裏を返すと、機内への持込荷物のみならば、預け荷物の料金を、一切払わなくて済むのです。
ずばりLCCがLCCたる理由を的確に表現していますね。預け荷物は座席とセットで付いていて一律になっていたのが一般の航空会社でした。そのセット商品を解体し、新たに一部のサービスをオプション化、レベル分けすることで、基本料(座席)の料金を低くするというのがLCCの大きな特徴です。
これまでのサービスの組み直しと低コストがLCCの売りですが、この「荷物の量によって値段が変わる」というサービスに組み直しはLCCでは当たり前で、このコピーは分かりやすくLCCを説明していますよね。
結構言うよね、春秋航空
他にはこんなコピーも。
「映画、ありません。」
サービスをシンプルにすれば、航空券は安くなる。春秋航空は、映画や音楽などエンターテイメントシステムを省きました。
それ以外にこれはすごく狙っている表現がこちら↓
「お金持ちすぎる方の席はございません。」
ファーストクラスやビジネスクラスなど、贅沢を堪能できる広いシートはありません。その分、席数を増やして航空券に還元しています。
「お金持ち」という言葉をストレートに使う広告ってなかなか見ません。広告はより多くの人に興味を持ってもらうことが一番の関心のため、広告側が自ら「お金を持っているかどうかで客を選んでいますよ」というメッセージを直接的に言うと、それを受け取る客側も「自分が金持ちかどうか」「自分は(広告主にとって)客なのか?」という尺度でしかそのサービスを見なくなるように思います。
お金(対価)がないとサービスはもちろん受けられませんが、お金があるか、足りるかはさておき「買いたい」という欲望をかき立てるのが広告の役割でもある点を考えると、ターゲットを絞り過ぎるのもあまりよくありません。
一方で、ターゲットを明確にするというのは一つのやり方でもあり、この広告の場合はそれが醍醐味だと思っています。「お金持ちを相手にしていない」と明言することで、自分たちがターゲットとする層に強くアピールできているのではないかとも思えます。「あなたたちに買ってもらいたいです」と言っている広告だと思います。
そして、これまた憎いのが「すぎる」という表現を使っていること。昨今流行った言い回し(美人過ぎるetc)を使うことで、ターゲットを明確にしつつも、オブラートに包まれた柔らかい表現になっていますよね。
これはなるほどと思える情報も
LCCに乗ったことがある人でも気付いてない方も多いですが、結構LCCの裏側、影の努力を垣間見せるコピーも散りばめられています。これからLCCに初めて乗ろうと考えている方は、なぜ安いかという勉強になる情報が丁寧なわかりやすい説明で載っています。安さには様々な見えない努力があるものですね。
「同じ機種を揃えている。」
AIRBUS A320型で機種を統一。メンテナンスや部品の供給を一律に行えるし、乗組員の作業や訓練を統一できるから、ムダなコストがかかりません。
「ムダな空席が、航空券を高くしていた。」
航空会社は空席のリスクを考えて、チケット代を設定しなければなりません。そこで春秋航空は中型機を採用し、180席に集中して販売。平均搭乗率95%をキープしているので、気にせず運賃を下げられます。
「飛行機までのルートで、チケット代は変わってくる。」
搭乗ゲートから飛行機へ向かって、何気なく歩いている渡り廊下、ボーディングブリッジ。実は離着陸のたびに使用料が課せられています。あらゆるコストを省いて、航空券を安く提供したい。春秋航空がタラップ(階段)での搭乗をお願いしているのはそのためです。
「空にだって、慣れた道があります。」
春秋航空は、短い距離を結ぶ往復運航。だからパイロットが安心して飛べる。しかも、運航スケジュールを効率よく組めるから、空港停泊料などムダな出費を抑えられるのです。